安倍四選!?!? 大いに結構・

 またぞろ動き出した。「安倍四選」。あの方の感受性の鈍さ、直近幹部らのうす気味悪いほどのゴマすり、手懐けられた決して逆らうことのない取巻きたち、こうした状況からすれば、予想もできたし、大方の見立てもそうだったのかも知れないが、こうして眼前に突き付けられてみると、やはり驚きを禁じ得ない。んッ!そう? ご本人も、「党が決めること」例によって得意満面の国会答弁だ。それにしても今この時期か!? 求心力が失われてしまってからでは遅いという危機感からの早めの動き出しなのかもしれないが、このことがやがて来る国政選挙にマイナスに働くことはないかなど微塵も心配をしないところが、今の自民党幹部らの奢りと政治感覚の鈍麻を物語っている。国民をそこまでなめるか!
 私は、昨年の自民党総裁選、自民党議員8割もの安倍晋三支持を見て、彼らのほとんどがその利益に浴するであろう日銀黒田の株買い、株高誘導にその理由があるのではないかと考え、ブログにも書いた。格差拡大お構いなしのこれほど見え透いたことは安倍にしかできない、安倍でよい、と。派閥の締め付けや小選挙区制の下での党の公認欲しさだけではどうにも説明がつかなかったからだ。今日は少し視点を変えてみる。
 安倍四選を言い出したのは、加藤自民党総務会長である。次期総理として安倍の意中の人と書かれたこともある人物である。安倍が今期で辞めたら、禅譲期待の岸田が「次は必ず闘う」と公言している。自分にはまだ少し早い。もう1期安倍にやってもらえば、岸田の芽は消え自分が名乗りを上げられる環境が整う。そう読むと、何のことはない、安倍四選も自分の打算からの発言であることが分かる。
 麻生と二階。こちらはテレビ朝日の玉川氏が述べていたことが非常に分かりやすかった。二人とも、安倍退陣とともに副総理、自民党幹事長の政治寿命が終わってしまう。麻生79歳、二階80歳、さすがに麻生、二階に総理の椅子は用意されていない。しかし二人ともまだまだ権勢欲は旺盛で、派閥を膨張させ、いくつかの知事戦では互いに張り合ってさえいる。そのナンバー2、ナンバー3の座が後3年で終わりを迎える。安倍政治のもと権力をほしいままにしてきた二人には耐え難いことに違いない。今の権勢を保持して政治家を生き続けようとすれば、たっぷり恩を売った上で安倍に総理を続けてもらうことが最も確実な道となる。この二人が安倍四選の実現に向かうのはごく自然な成り行きである。安倍の細田派、麻生派二階派が寄り合えば容易に安倍政権を継続できるのだから。
 そうするとしかし、この二人にとっての安倍四選もまた、政治家としての安倍を高く評価し彼の政治を続けさせたいというのとは全く筋が違う。ただただ自分自身の利害、それだけである。誰にも負けられない安倍への支持表明。だから、この安倍四選支持が国政選挙にどう影響するのか、自民党の候補者らににどのような悪影響があるのかなども考慮の外となるのである。
 このようにみてくると、今回の安倍四選への動きは、自民党幹部らの安倍支持の強固さを示すものではないし、ましてや自民党内での安倍の政治力、影響力の大きさを示すものでもないことがよく分かる。安倍の統制が利いているわけではない。権力欲にまみれた者同士の危ういバランス、その利害の一致するところで辛うじて政権が維持されているというその実像が見えてくる。これは案外脆い。図体が大きいだけにわずかなバランスの乱れで一挙に崩壊というシナリオもあり得る。
 そうすると、この時期、深く検討された様子もなく飛び出した安倍四選の提起は、ひょっとすると、安倍の求心力の低下をそのまま示すものであり、自民党内のバランス崩壊の序章なのではないかとすら思えてくる。「安倍四選」が選挙の旗印として自民党全体にとってとてもプラスとは思えないし(ポスターに安倍とのツーショットを使わない候補者も多いと聞く)、それどころか、国民にとっては朗報、歓迎すべき事態と言っていいかもしれないからだ。これから国政選挙に臨むにあたって、安倍政治をこの先さらに7年間も続けさせていいのかどうか、その重大な判断材料が国民に与えられるのだから。
 「嘘をついてはいけません」「隠しおおせればいいというものではありません」「部下を大事にしなさい」「責任を人に転化してはなりません」「立場ある者にはそれ相応の責任の取り方というものがあります」「自分を守ってくれた人は自分を捨てても守り通さなければいけません」、人間としての基本道徳を教え諭し、注意してくれる人が傍にいなかった不幸な生い立ちは同情に値するが、それが一国の総理総裁となると見過ごしにはできない。森友加計の嘘と隠蔽、公文書改竄、国会を愚弄、見せかけのアベノミクス、そのための株価操作と統計いじり。拉致被害者家族には「トランプ大統領によく頼んでおきました」「電話があり、トランプ大統領が話をしてくれたそうです」、自分でリスクは背負わない、嫌なことは人任せ、こんな総理に頼らざるを得ないとは、被害者家族が可哀想だ。一刻も早く辞めてもらわなければならない。
 麻生、二階、加藤らの安倍四選支持は、それぞれ自分の利害で動くのだから本気モード。安倍の方も、自分が優れた指導者として支持されているものと信じて疑わないキャラだから、直ぐにその気になる。安倍自民党を勝たせたら安倍総裁の四選は間違いなく現実の恐怖となる。
 安倍四選でいいのですか? これからの国政選挙、国民には深刻だが最良とも言える判断材料が提供されることになりそうだ。