富裕層のみの優遇、格差拡大策「日銀株買い」を許すな!

 久しぶりのブログになる。ずいぶん辛抱して長らく安倍政権の体たらくを見続けてきたが、我慢もこの辺が限界のようだ。あの顔を見るだけで具合が悪くなる。

 

 今日のテーマは前にも書いた「日銀株買い」だ。

 サンデーモーニング寺島実郎氏が具体的な数字を挙げて、今の株式市場を「金融バブル」と批判した。昨年の日経平均の平均は約1万9000円ちょっと、しかし、コロナで最悪の経済状態のもと(赤字に転落した上場企業も多い)、現在の日経平均は2万2000円、明らかに異常である、と。

 理由は明白で、唯一つ、日銀株買いの拡大である。日銀黒田は、コロナ禍に乗じて金融対策と銘打って、株購入額をこれまでの二倍(月1兆円年12兆円)に拡大した。昨今話題のコロナ対策予算、数十億、数百億、数千億と比べてみれば、その額の巨大さ、異常さがよく分かる。折しも昨年来の株価下落で年金基金の株買い損失も膨らんでいた。これでは安倍晋三に唯一残された「経済の安倍」までそっくり吹き飛んで、安倍政治が終わる。株価だけでも何とかしなければ・・・。 

 株価が下がれば、バブルの崩壊、株価のさらなる暴落、日銀株買いの終了、大量の株損失を抱えた日銀の赤字転落、安倍だけでなく日銀黒田も辞任の憂き目、黒田は日本経済破綻の安倍の共犯者として歴史に悪名を刻むことになる。

 黒田にとって、コロナ禍はまさに「渡りに船」、ここぞとばかりに、一気に日銀の株買い入れ額を倍増させた。年金の損失も回復され、安倍、黒田の寿命も延びる。

 この日銀黒田に先導されて、株主たちは、経済動向お構いなし、株だけはまだまだ大丈夫と株買いに戻った、それが現在の株価である。

 

 見せかけだけの株高が何の経済対策になるのか!まさに砂上の楼閣。それが国民にバレた途端にパンクする。かつて永遠に価値が下がることはないと信じられた不動産神話、バブルも無節操無秩序な不動産市場への住専金融機関の資金供給の結果であることが国民にバレたところではじけた。それと同じに、経済状態とは無縁、唯一の頼りは日銀黒田の札刷り株買いという今の株高の正体が国民にバレたところで株価も間違いなくはじける。その結果、多大な損失を被る者が出るはずだが、承知でバブルに溺れた人は仕方のないこと。ただ、高株価のカラクリを知らず黒田相場に誘いこまれた人には、この記事を警告に早めに危険な官製賭場から撤退することをお勧めしたい。

 

 もっとも、これまで私が日銀株買いを批判してきたのは、経済実態とかけ離れた中身空っぽの株価操作のことではない。これが実質、安倍支持株保有富裕層に対する安倍の買収策としてずっと利用されていることだ。問題は表向きアベノミクス好調を演出する見せかけ株高だけのようでもあったが、その本当の狙いは最初からここにあったと私は思っている。

 

 世界で中央銀行に株買いまでさせるのは安倍晋三だけ。結果、株主は潤い、安倍がどんな失態をやらかそうが、株保有者はみんな安倍内閣支持となる。大きな声では言えない良識派も、「安倍がダメでも、安倍の他に適当な総理候補はいないじゃないか」と消極的支持を装うところまでが精一杯。現金を配って株資産を守ってくれるのだからいなくなっては困るのだ。モリカケ桜を見る会、黒川検事長問題、イラン、プーチンでは世界に恥をさらし、拉致被害の横田さんは何の進展のないままこの世を去った、それでも安倍内閣支持率35%、その理由はもはやこの日銀株買い以外にないように私には思われる。

 ネット上には安倍政権批判が飛び交っているが、その人達の中に日銀株買いを批判する人が何故か少ないことが最近の私の気がかりでもある。元気のいい彼らも実は隠れ株保有者なのではないのかの疑問。安倍は嫌いだが、日銀株買いは続いてほしい?

 

 その狙いから当然のことだが、日銀は買うだけで、売ることがない。だから、株価は上がる一方だし、下げ局面でも日銀の株買いで下げはそこで止まる。こんな買い一辺倒、金を配るだけの投資家は世界にいない。外国人投資家も日本の株式市場から離れないわけだ。受益者は株保有者だけでない。証券業界にも、日銀の株買いシステム(ETF)だけでも膨大な手数料が転がり込む。証券業界にとっても願ってもない好顧客ということになる。絶対に手離せない。株取引とは無縁な国民が知れば間違いなく怒る。国民には知られないようこの儲けの泉は隠し守らなければならない。証券関係者、エコノミストの論文、コメントなどは全て、「日銀株買いが株式市場を歪めていることはない」「日経平均の日銀株買いETFが個別銘柄の株価を左右することはない」と、都合のいいデータを選りすぐって、株関係富裕層だけの優遇策の秘匿に腐心している。

 こうして、日銀の保有株式は膨大に積み上がっていく。日銀が筆頭株主になる企業がどんどん増えている。株価が暴落すれば日銀赤字、倒産の危機というのは、日銀が買った時の価格より株価が下落すれば資産の減少で債務超過ということになるからである。

 

 私には、公金(国民が付与した紙幣製造権限に基づき日銀が刷った国民のお金)の株主だけへの偏頗なバラマキ、不公平で格差拡大しかもたらさない富裕層優遇、安倍支持層買収策としか評価できない政策であり、SNSなどでその批判を展開し続けてきたのだが、反応があまりない。ETFという巧妙で分かりにくい仕組みを作り上げたことが成功していて、国民がこの政策の酷さにまだ気づいていないということであるなら、もう一度その詳細を説明しておいて無駄ではないのかもしれない。

 

 その仕組みは次のとおりである。日銀が日経平均連動型証券ETFの注文を出すと、証券会社は日経平均225銘柄の全部に、日銀の注文額を日経平均の算出と同じ単純平均で割り振って、市場で実際の株式を購入する。1000億円の注文なら全額が日経225銘柄すべての購入に充てられる。株単価の高いファーストリテイリングの購入額が最大となるのはその仕組みから当然である。まさにETF購入の日銀資金がそっくり全銘柄の株価を吊り上げるか下げ止めるかしているのである。日銀ETF買いはストレートに個別銘柄の株価を変動させる。そして個別株取引で売り株主の手に日銀資金が渡る。日銀が株買いに注ぎ込んだ金額は既に30兆円を超えており、長い年数の間にこの買いだけで確実に日経平均を吊り上げている。2割とも3割とも言われる。

 証券会社が日銀資金で買った株式は、資産保護、安全のため、証券会社とは別の信託会社に日銀の株式として預けられ保管される。

 証券会社はこの購入した日経平均225銘柄の株式から自分たちの手数料などを組み込んでETFを構成し、これを日銀に交付する。このETFはそれ自体が市場に出されて個別銘柄同様取引の対象とされる。

 日銀が直接株を買うのではなく、ETFの形にし、ETF日経平均株価や個別銘柄の株価との関係など国民に分かりにくい仕組みにしているが、これは、単純に、日銀が国民に付与された日本銀行券発行権限に基づいて札を刷って株を買い、その札を直接、国民の一部株保有者だけに配る、ただそれだけの仕事なのである。経済政策、金融政策などと御託を並べて煙に巻こうとしているが、実態は株保有富裕層の株資産保護だけに寄与する安倍内閣支持層つなぎ止め策でしかないのである。

 

 国民がみなこの事実に気づきさえすれば、安倍、日銀黒田のこれほどの悪行を決して許さないし、このまま放置することはないはずだ。早く気づいて国民の声で一刻も早くこんな愚策は終わりにさせてほしいものである。それがそのまま安倍政治の終焉をも意味するからだ。