ひるおび八代英輝弁護士は朝日新聞「反日」の意味を国民に説明せよ!

 昨日の「ひるおび」の「八代英輝弁護士」の発言、「朝日新聞反日三羽ガラスのひとつ」。ネトウヨ達が「よくぞ言った」の大絶賛。他方、私も大絶賛だ。「とうとう言ってくれたか」。これで国民は、安倍晋三太鼓持ち、政権がマスコミに送り込んだ安倍晋三隠密報道官、八代英輝の正体に気づく。彼は実にうまく立ち回ってきた。自民党筋の依頼の講演料が頼りの政治評論家などは、国民がその目で見るからその弊害も大したことはない。しかし、八代英輝は法律家しかも元裁判官、国際弁護士を名乗って登場する(弁護士の中でも優秀そうだ)。第三者、法律家として客観的なコメントをするものと、見る側が勝手に思い込んでしまう。昼食時の2時間の影響力はあまりに大きい。

 私がグログを始めたのも、加計問題に関する彼の発言を聞いたのがキッカケだった。昨年4月に書いたブログから一部引用する。
 「この間ずっと気になっている。TV番組での政治問題をめぐるコメンテーターの発言。官房機密費の使い道に政治評論家などへの援助があるというかつての報道を改めて思い起こさせるような露骨な「政権よいしょ発言」が目につく。何が起きようが安倍首相との心中を決めているとしか思えない政治評論家の発言には慣れ切ってもはや気にもならないのだが、中立的で法律に詳しそうな立場を利用して、国民を誤った理解へ導こうとする者がいることには同じ職業にあった者として我慢がならない。
 昨日のTV番組でも、愛媛県で作成が確認された「首相案件」文書に関して、某弁護士が平然と次のように述べていた。「これは署名もない伝聞証拠ですから、証拠にはならない」。弁護士の発言なのだからその罪は大きい。現に「見事に切って捨てた」との評価もネット上にある。法的にも明らかな間違いであり酷すぎる。
 一つ、伝聞証拠は刑事裁判では原則として証拠能力が否定されていることはそのとおりだが、それは、刑事裁判での証拠は、刑事罰という重大な結果を国民にもたらすものだからそうした制限が設けられているのだ。また聞きで、反対尋問もできない証拠で有罪にされてはたまらないからだ。民事裁判での証拠のルールとは違う。この重要な事実を敢えて言わない。これでは、民事裁判でもこの文書は証拠とならないものと視聴者は考えてしまうだろう。違う。民事裁判では、どのような書面もその成立の真正(誰が作成したのか)が証明されさえすれば、立派な証拠になる。今回の文書は県知事が会議の場にいた県の職員が作成したと明言しているのだから、成立の真正に何の問題もない。立派に証拠として採用される。後はその中身、書かれていることが真実かどうか、証拠としての価値(証明力)が裁判官によって判断されることになるだけ。そして、裁判官は、県の職員が会ってもいない人を名指しすることなどありえない、言われてもいないことを書いたり報告することもあり得ない、こうした世間常識(「経験則」という)に従って、その内容の真偽を判断する。結論は誰の目にも明らかだ。それが裁判であり証拠の扱い、ルールだ。
 にもかかわらず、彼は法律の専門家の顔で、平然と誤った意見を述べて国民の誤導を試みる。国民は法律の専門家の意見なのだから、先のネットの意見のように、そうなのかと思ってしまう。これは、法律家も時には間違うこともあるで済まされることではない。この人物の発言もまた、この間一貫して政権擁護だったのだが、ここまでになると、この専門家の発言は、もはや国民の世論形成にとって有害な脅威になっているといっても過言ではない。TV局の責任問題にも発展していいことだ。」
 「しかし、ネットを調べるうち、同人物が安倍首相の隣に座り会食している写真が公開されているのを見て大いに納得した。しかし、同時にまた、この事実は、彼の意見が単なる法律の勘違いではなく、意図的になされていることを推測させるものでもある。
 報道の中立云々、違った立場の意見を公正に伝えるとかの問題を超えている。法律の専門家の肩書を利用して一定の意図をもって世論を誘導しようという行為だ。許されない。残るのは、TV局側が彼をどう扱うのかの問題だろう。彼は法律の専門家として国民に法律的にはどうなのかという見解、国民に法的にはそうなのだろうと受け取られる立場で意見を述べているからだ。恐ろしい事態ではないか。」
 「彼を法律の専門家としてのコメンテーターの位置を与えておいてよいのかどうか。彼は最大限その肩書、立場を利用して誤った法律論で国民の眼を曇らせ安倍擁護に走るのだから。法律の素人の意見とは、その毒性、影響力が違い過ぎる。これまでにも彼の発言の中に同じような法的に誤った意見は多くあったが、今回はこれまでの比ではない。たまらず一筆啓上とあいなった。」  
  ここで書いた「某人物」「彼」が、八代英輝弁護士である。

 私は、その後TBSにも抗議のメールを送ったが、梨のつぶてで彼はコメンテーターとして居座り続けてきた。

 ちょっといい気になり過ぎたのか、或いは、参院選の「少し後退」で、求心力確保策を改憲から民族主義国粋主義に舵を切るかに見える安倍晋三を擁護したいがための焦りからなのかは知らないが、今回の発言はいくら何でも無事にはすまないのではないか。

 彼が自ら進んでその正体を国民に曝してくれたことは大いに歓迎すべきことだ。これで彼の発言の国民への影響力は大きく減殺されることになる。国民の多くが、背後にある彼の政治的思惑を気にしながら、眉に唾して彼の発言を聞くことになるからだ。

 しかし、この発言、彼のコメンテーターとしての評価の低下だけで終わりというわけにはいかない。公共の電波を利用して、彼は、多くの購読者を擁する三大新聞の一つ朝日新聞を「反日」呼ばわりしたのだ(購読者も「反日」新聞の読者ということになるのか?)。当たり前のこととして、彼は、彼が使った言葉「反日」について、朝日新聞に対してはもちろんのこと、国民に対しても「朝日新聞反日」の意味を説明する義務がある。「日」は「日本国」なのか「日本国民」なのか、それとも「自民党」「安倍政権」「安倍晋三」なのか、それともまた「八代英輝」自分自身のことなのか、ハッキリさせなければならない。自分の意見に反する者や安倍晋三に従わない者はみな「反日」になるのか、自分の考えを「日本国」と定義するのか、自分の考えが全ての国民の考えだとして「国民」の名を騙ろうというのか。
 別の説明ができるならそれで構わぬが、ともかく言い訳があれば聞かせてほしい。

 思想、良心の自由は憲法の保証するところ。何を思っていてもいい。しかし、ヘイト行動をも助長しかねないこうした発言が弁護士の口から出る。「人権擁護と社会正義の実現」を旗印にした弁護士会でも問題視されかねない看過できない発言だ。

 もちろん、意思にそぐわなければ謝る必要はない。我が国は、どんな意図で何を言おうが、表現の自由が保障された国だ。また、コメンテーター、弁護士をやめろ、とも言わない。ただ、最低のこととして、君は、君が発言したと同じ電波で、それを見聞きした国民(或いは君が反日呼ばわりしたととられても仕方ない国民)に対して、その発言した言葉「反日」の意味をキチンと説明すべきである。例のヘラヘラ調子の逃げ口上ではなく、その義務だけは真面目にしっかりと果たさなければらない。

 さて、先にも指摘したことだが、TBSさん、こんなコメンテーターをまだ使い続けるのですか? テレビ朝日にも、同じく政権から送り込まれたような大学教授がいることはいるのだが、どこかがまず権力監視のマスメディアとしての使命を思い起こし先鞭をつけなければ・・・・・。TBSもテレビ朝日もまだまだ頑張っている局との私の評価を最後に付加した上での要望です。